参加賛同と購読の申し込み 今年は現天皇の明仁(あきひと)が即位してから20年という年にあたります(おまけに結婚50周年とか)。今年いっぱいはまたマスメディアなどを通して、この「20年」と「50年」にかこつけた「奉祝」キャンペーンや皇室中心の回顧ムードが麗々しく脚色され、これでもかというほど流されるに違いありません。

私たちは11月12日の政府主催「国家式典」・皇居前「国民祭典」とそれに連なる「奉祝20年」の動きに異議を唱え、「こぞって祝う」ことを強いる「休日化法案」に、はっきりと反対します。全国各地で「反奉祝」の運動をつくりあげましょう。そのための「共同行動」を提案します。ぜひ、ご賛同ください。

それぞれの立場から創意工夫に満ちた、存在感ある運動を繰り広げていきましょう。参加・賛同の呼びかけ全文

共同行動から

2009 年 12 月 16 日

「奉祝式典」は終わった。でも「次」がある?  

中村ななこ

 さぁ、私たちの行動も、いよいよ大詰め。自民党および超党派の国会議員は「在位20年」当日の11月12日を「祝日」とする法案を10月末に出す予定で調整をしたようだが、結局民主党との最終調整がつかずに提出断念。やったねぇ~! 当日が祝日にならないというのは、「国民こぞって」祝おうとするもくろみが崩れたということだ。まぁ、私たちの運動の成果とはちょっと言いにくいが、それでもめでたいことではある。それでも一抹の不安。休みになることを前提に、当日の行動を組んでいたわけだし、勤め人は休みを取らねばならず、行動に参加する人もグッと減るんじゃないかと思われ……。お天気も悪そうだし……。加えて12日にはオバマ米大統領の来日が決定し、東京の中心部は厳戒態勢になることも予想された。結局、オバマの来日は一日ずれたが、警備はかなりのものだった。

 当日はそれどころじゃなかったので、全部あとになって見たり聞いたりした話ではあるが、新聞は各紙とも「在位20年」を大きく取り上げ、社説、20年を振り返る記事を掲載した。また内閣官房・内閣府は記念式典を呼びかけ、「●天皇陛下御在位20年を記念し、国民こぞってお祝いするため、本日(11月12日)、天皇皇后両陛下のご臨席のもと、政府主催の記念式典を東京の国立劇場で行います。●国旗を掲げて御在位20年をお祝いしましょう。●各種慶祝行事も行われます。詳細は、首相官邸HPをご覧ください。」という政府公報を全国各誌に掲載した(計73紙)。小さい囲みのものではあるが、これってやっぱり「祝意の強制」されてる気持にさせる。よくみれば、各企業が祝意を表した広告、奉祝関連の記念出版物の広告などが満載である。
 テレビはもちろん式典の様子を映し出し、EXILEが熱唱しているところ、日の丸の小旗を振っている人びと、そして二重橋に立って手を振っているアキヒトとミチコ。この様子は翌日の新聞各紙も大きく報道した。この式典に先立ち、天皇夫婦は記者会見をし、また当日には「おことば」も述べた。

 想像していたことではあるが、多くの人びとはそんなこととは関係なく、普段と変わりない日常のなかにいたはずである。新聞やテレビで報道しているのは知っているし、そういう日だという認識はあっても、主体的に行事に参加する人は少なかったと思う。皇居前に集まった人の中には前回同様、EXILE目当ての人たちもいたはずだし。つくづく休みになんなくてよかったなぁと思う。休みならテレビを見ちゃう人の数もずいぶん増える。テレビでは一部に私たちの行動が報道されたが、新聞には記事はない。やっぱり反対行動はなかったことにするつもりなのね。

 NHKが即位20年に合わせて世論調査を行っていて、それによると、「現在と同じく象徴でよい:82%、天皇制は廃止する:8%、天皇に政治的権限を与える:6%」だという。廃止するが8%というのは、個人的にはけっこう多いなという印象。もっと少ないかと思っていた。ちゃんといるんじゃない! 2043名の回答数の8%だから、160人ぐらい。そういう人たちがもっと声をあげていけばけっこうな数になるんじゃない?  今の世の中で声をあげていくのがたいへんなのが天皇制。それがしやすくなる工夫は、いろんな角度からみんながしていかなければならないけどね。ついでに「天皇の公務のうち、特に意義のあるものについて」という質問では、「外国訪問などの国際親善:32%、障害者や高齢者、災害の被災者の激励:20%、全国戦没者追悼式への出席など戦争犠牲者の慰霊:17%、国会の召集など国事行為:9%、国民体育大会など国内各地の行事への出席:6%、意義のあるものはない:9%」である。「意義のあるものはない」が9%、これってかなりの数字じゃない!  もっとも彼らに「皇室外交」を望む声が大きいのは困ったことだ。憲法に規定されている「公務」以外を求めている。天皇制についての質問のなかにも「天皇に政治的権限を与える:6%」というのがある。あの人たちに政治的な行動を期待する人たちもけっこういる、ということだ。鳩山首相は天皇の元首化を求める発言をしている人なんだから。

 さて、私たちの活動の大きなイベントは終了した。このニュースもあと一号を残すのみだ。「即位20年奉祝」というイベントも、大がかりなものはあらかた終わった。だけど、天皇制がなくなったわけではない。宮内庁は、今の民主党政権に皇室典範の「改正」を申し入れているのだ。小泉政権の時とは様相を変えて、新しい論議が始まるだろう。

 私たちがこの一年で積み上げてきた議論や経験を、あまり遠くないうちにまた発揮する時がくるだろうと思う。その時まで、それぞれの固有の課題のなかで考えていきたい。
 それでは、最終号を楽しみにしてね!

(なかむら・ななこ/反天皇制運動連絡会)

Anti20 第7号

2009 年 12 月 15 日

機関紙の第7号ができあがりました。ご購読をお願いします。

【7号/目次】

  • [1959→1989→2009][対談]桜井大造(野戦之月海筆子)・池内文平(独火星)「一九八九年、キミは逝き、ぼくらは行く──テントの想像力をめぐって」
  • [1959→1989→2009]太田武二(命どう宝ネットワーク)「在日沖縄人運動の20年」
  • 伊藤晃(日本近現代史)「『天皇の行為』の拡大を正当化する論理──園部逸夫『皇室法概論』」
  • 天野恵一(反天皇制運動連絡会)「あれを書いた、当時の青年作家──『パレード』投石から五十年」 
  • 高橋寿臣(反天皇制運動連絡会)「11・12全国集会・銀座デモ 全国の仲間と共に、意気軒昂と闘い抜く!」
  • 中川信明(靖国・天皇制問題情報センター)「突出する東京都の祝賀事業 共同行動でまたまたまた抗議文を提出しました」
  • よびかけ団体から(京都『天皇制を問う』講座実行委員会)
  • コラム「鳥の目・虫の目」(鳥もの蝶)
  • 共同行動から(中村ななこ)

主に首都圏で活動している様々なグループ・個人が集まり、「式典」当日に向けて横断的に、多彩な行動を積み重ねていくことをめざしています。
共同行動のニュースとして『Anti20』を創刊しました。ぜひとも定期購読をお願いします。
私たちは、このニュースを、たんなる集会の宣伝や、共同行動のアピールの手段にとどめず、読み応えのある、それ自体が相対的に自律した反「奉祝」のメディアとしていきたいと思っています。
12月まで毎月月末刊行、A4判16ページ、8号分
2000円(送料とも)。一部200円でばら売りもしますが、確実に入手するため、ぜひぜひ、定期購読を申し込んで下さい。0号からお送りします。

〈天皇即位20年奉祝〉に異議あり!
政府式典反対11/12全国集会 集会宣言

2009 年 11 月 12 日

 本日、11月12日、このクニでは大きなフィクションが行われている。欺瞞といってもいいし、ペテンと呼んでもいい。

 むろん、天皇・明仁の即位20年を「奉祝」するいくつかの催しである。皇居内では朝9時からすでに「記帳」が始まっており、午後からは政府主催の「記念式典」(天皇夫妻出席/国立劇場)が、同時にまた、財界主導の「奉祝委員会」と与野党合同の「奉祝議連」とが主催する、皇居外苑と皇居前広場を使った「国民祭典」(第一部/奉祝まつり、第二部/祝賀祭典)が行われている。──昨秋から今年いっぱいにかけて各都道府県では「奉祝」の行事が執り行われ(東京都は12月25日)、地方議会では続々と「賀詞決議」が採択されてもいる。

 政権党交代のゴタゴタのなかで、この日を「臨時祝日」として休日にすることはできなかったけれど、それでも政府は「各府省においては、式典当日国旗を掲揚するとともに、各公署、学校、会社、その他一般においても国旗を掲揚するよう」お達しを出すのを忘れなかった。休日にして「国民こぞってお祝いする」ムードを盛り上げるよりも、むしろよりハードな「祝いの強制」が行われている可能性もある。

 わたしたちは、しかし、その手の嘘八百にはもうがまんならない者たちなのだ。この場に集まった者たちは、ひとりひとりが名前を持ち、友人たちと固有の関係を結び、20年といわず現在ただいまという歴史を生きる生活者であって、天皇個人とは何のゆかりもない(はずだ)。天皇を祝うコトバなどはなから持ち合わせてはいないのだ。

* * *
 1989年1月7日、天皇・裕仁は死去した。自らの戦争責任には口を噤み、問いかけには白を切り通してきたうえで。自身の保身と天皇制の維持のために、占領軍(米軍)に基地を提供し、安保を導入し、沖縄を差し出したことは、いまではよく知られている。1989年1月7日、そのように存続した天皇制を、明仁は丸ごと継いだ。皇位継承という皇室神道の宗教儀式を「国事行為」と言いくるめてのことだ。この明確な違憲行為のすぐ後に、明仁は「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い……云々」とぬけぬけと言っている(1月9日/朝見の儀)。

 これが出発点で、それから20年。この20年間は、わたしたちにとってどんな時代であり、明仁天皇はその中でどのような役割を果たしてきたのか。

 わたしたちが直面している問題に限ってみても、この20年間は、資本の国際競争の名のもとに、儲けるものは限りなく儲け、人を資材として使い捨てにしてきた20年であり、湾岸戦争以来、海外派兵が公然と行われ、ついには立派な「参戦国」となった時代であった。また、国旗・国歌法の成立とその強制、教育基本法の改悪など、人を一方向に規定し、「国家に役立つ人間づくり」を、権力が人びとに強いてきた20年でもある。このような20年を、誰がどうやったら祝えるというのか?

 ましてや明仁は、戦地に派遣された自衛官らを皇居に招き、その労を多とする「お言葉」をかけている。こうした天皇の慰労行為は侵略戦争加担に「正当性」を与えるものであり、戦争国家の士気昂揚や動機づけとなっている。また彼は、その同じ口で「平和」をつねづね語り、被災者や社会的「弱者」を「気遣う」発言もしている。けれどもその「平和」は、天皇制にまとい付いた戦前・戦中・戦後の責任を曖昧にした、ただムードだけの「平和」にすぎない。つまりはゴマカシなのだ。それはまた「弱者」を「気遣う」素振りも同様だろう。いまある「格差社会」は、むろん新自由主義と称する政策によって拡大されてきた。しかしその根底には、天皇制という社会的序列を固定化し再生産してゆく制度があることは明白だ。それが今日もまた、差別や排除をうみだしている。

* * *
 だから、わたしたちは、どんなに美しいコトバであったとしても、「天皇、キミだけには言われたくない」と思っている。まただから、本日、皇居方面や三宅坂、あるいはマス・メディアのなかで飛び交っているであろう、大袈裟なお追従の言動をペテンであり欺瞞でありくだらないフィクションであると、わたしたちは思うのだ。

 しかし、この「フィクション」が現実の実体としてわたしたちの前に立ち現れてきたのもまたこの「20年」であった。わたしたちは「え~かげんにしてほしい」と思うと同時に、この事態を「え~かげん」のままに済ますことはできない。

 わたしたちは、天皇制とそれを強化しようという一切の言動に反対し行動する。天皇などいらないのだ。

2009年11月12日
<天皇即位20年奉祝>に異議あり!政府式典反対全国集会 参加者一同

平成天皇20年奉祝に反対する国際声明

2009 年 11 月 11 日

 今日の日本は、世界中の若い世代の人々にとってまずアニメーションによって知られた国だろう。そして多くの場合ジャパニメーションの作家たちによって描き出された未来は、「ヨーロッパとアジア」という二つのファンタジーがない交ぜになった社会である。そこは、遠い過去と未来が一緒になった時間の中から現れた族長たちが、日夜血みどろの戦いを繰り広げているような世界なのだ。アニメーション映像が21世紀の日本で有力な輸出商品のひとつとなったことは、誰しも認めることだろう。

 だが同時に、そうした映像の詩人たちが育った日本は、憲法上は象徴(symbol)でありながら暴力によって支えられた王が君臨する国なのである。天皇(emperor)などと自称しても、彼はもはや地球上でも数少ない王たちの中の一人にすぎない。

 私たちは以下のことを世界の人々に伝えたい。たしかに選挙された議会はあるが、この国で王制をはっきりと批判する者には、治安警察と王制主義者たちによる隠微で激しい嫌がらせか、あるいは秘めやかな死さえ用意されているのだ――と。これらの事実が報道されることは国内でも国外でもきわめて稀なことである。新聞もテレビも政治家たちも堅く口を閉ざす。そのかわりに優雅な王族たちを彩る各種の映像があらゆるところで振りまかれているのである。

 奇妙なことに、世界中のファンたちに向けられたアニメ詩人たちのファンタジーには、熱烈な王制信奉者たちが紀元前7世紀から続くと主張する夢幻のような大君たちの影さえ現れない。ディズニー映画におけるアーサー王伝説など6世紀だから、つい最近のお話にすぎないというのに。これはいったいどういうことだろうか? 無意識の恐怖か、戦争の傷痕が乾ききらない世界の市場動向への配慮なのか、あるいはどこか分からない遠い世界へのはるかな逃走なのか。

 現在の王である明仁は前王だった裕仁の紛れもない嫡子である。裕仁こそ、ヒトラーやスターリンと並ぶ20世紀の戦争と虐殺を主導した独裁者の一人だった。そして彼以外の誰も、まったく裁かれることもなく今日まで自らの「王朝」を存続させている者などいないのである。むしろ明仁とその一族は、その優美で曖昧な言動や仕草の数々によって、日本の王制が少なくとも140年にわたって犯してきた侵略戦争や再軍事化、そして経済膨張と秘かな強圧の歴史を覆い隠す。王族たちの物語とはそういうスクリーン(映写幕/遮蔽物)なのである。ジャパニメーションにも、日王による殺戮を讃える物語が登場する日がいつか来るというのだろうか?

 私たちはそんな映像を観たくない。「平成」と名づけられた現王明仁の治世が始まって20年の時を讃える祭りを、私たちは祝わない。今年の11月12日、政府によって行われる大きな宴に反対する。私たちは私たち自身の祭りを楽しみたいのである。日本という国にそういう人間たちがいることを、今私たちは世界中の人々に伝えたい。

           anti20共同行動@japan 参加者一同
           (2009年11月12日)

東京都の祝賀事業に抗議します

2009 年 11 月 10 日

2009年11月10日
東京都知事 石原慎太郎様
〈天皇即位20年奉祝〉に異議あり!え~かげんにせーよ共同行動

抗議文

 東京都は、天皇在位20年を祝うために、11月12日に都営バス、都電の祝賀装飾運行(花バス・花電車運行)、記念写真展の開催、11月12~15日の都立15公園・施設の無料開放、都営地下鉄等の記念乗車券の発行、DVD上映・写真展示、都立4公園の記念植樹、11月12日、13日の都庁ライトアップ、11月12日のレインボーブリッジのライトアップ、そして、12月25日には祝賀式典を実施すると聞き及んでおります。
 天皇在位20年をめぐっては、11月12日に政府祝賀式典が挙行される一方で、祝日法案は結局、今国会での提出は断念され、一部右翼勢力を除いて「奉祝」運動は全く盛り上がっているとは言えません。地方自治体でも、21府県議会で「奉祝」決議が上がり、都道府県レベルで祝賀事業を行っているところも多少ありますが、概して地味めです。そういう中で、上記のような多様な祝賀事業を行い、祝賀式典まで行う東京都は明らかに突出していると言わざるをえません。
 東京都は、1990年の即位礼・大嘗祭、1993年皇太子結婚時に同様の祝賀式典や祝賀事業を、反対の声があったにもかかわらず強行し、いずれも、祝賀式典当日は反対情宣を警察の力によって暴力的に封じ込めて強行され、また、終了後、いずれも住民監査請求・住民訴訟の対象になりました。しかしながら、天皇在位10年の時には、全く祝賀式典・祝賀事業は行われませんでした。ところが、今回、性懲りもなく、祝賀式典、祝賀事業を強行することは、都民としては「え~かげんにせーよ」と言わざるをえません。
 東京都が、祝賀事業を行うことは、都民に対して祝意を強制することであると言わざるをえません。殊に、花バス・花電車の運行は、都バスの該当路線、都電の利用者に祝意を強制するものであり、特に天皇在位20年を祝わないものにとっては、苦痛を強いるものであると言わざるをえません。また、祝賀事業、祝賀式典を行うことは,東京都が天皇を特別扱いすることであり、憲法14条「法の下の平等、貴族の禁止」に反するものです。殊に、祝賀式典の実施には多額の税金が投入され、財政状況が厳しい折、特定の個人の「祝い事」に税金が浪費されることが許されるはずはありません。その他、天皇のためのライトアップ、天皇のための記念植樹、天皇のための記念乗車券の発行等も、天皇の特別扱いであり、都民としては、到底容認することはできません。
 私たちは、このような東京都の祝賀事業、祝賀式典実施の決定に厳重に抗議するとともに、今からでも祝賀事業・祝賀式典を中止するよう強くもとめます。

共同行動から

2009 年 11 月 7 日

差別と暴力を内包する天皇制「奉祝」反対全国集会・デモへ!  

                  国富建治

 4月11日の「めでたくないぞ結婚〈50年〉即位〈20年〉 リードイン・スピークアウト集会」から公式にスタートした私たち「え~かげんにせーよ」共同行動の集会も、いよいよ大詰めを迎えている。9月6日の「ハンテン」展に続き、10月12日には〈天皇即位20年奉祝〉え~かげんにせーよフォーラム」を開催。全体会での鵜飼哲さんの講演に続き、六つの分科会で多様な討論を行った。さらに10月16日には、少人数ではあったものの「8・15実行委員会」との共催で10月31日に東京・品川の東京海洋大学で開催される、「在位20年奉祝」の意味も込めた「海つくり大会」に反対する討論会を行った。千葉と神奈川の仲間から以前の「海つくり大会」に抗議した取り組みの経験が語られた。

 さて「奉祝」側の動向だが、11月12日を一年限りの「祝日」とする法案が議員立法の形で通常国会に提出されたものの、国会解散のため廃案となったことに示されるようにまったく盛り上がっていないように思える。メディアの報道も4月の「結婚50年」ではTV、新聞を含めて大々的なキャンペーンを張ったが、8月30日の総選挙で自公政権が大敗して政権の座から転落し、民主党主導の鳩山政権が成立したという政治情勢の大変動があり、「在位20年奉祝」ムードはすっかりしぼんでしまっている。

 自民党は臨時国会開会翌日の10月27日の総務会で、11月12日を「祝日」とする法案を提出することを決め、民主党との調整に入ったと報じられていたが、最終的に調整がつかず「祝日化」はお流れとなった。他方地方議会のレベルでは「奉祝議員連盟」会長である森喜朗元首相のおひざ元・石川を皮切りに、福岡、広島、宮崎、秋田、新潟、神奈川、長崎、宮城、和歌山、岡山、岐阜、熊本、埼玉、鳥取、群馬、福島、山形、大阪、千葉、愛知の21府県議会で「在位20年奉祝」の決議が上がった(10月末現在)。注目すべきことは、この「奉祝」決議への共産党の対応がある県では不同意を込めた退場、ある県では賛成とまったくバラバラであることだ。民主党主導政権に対して「建設的野党」の立場を取るとしている共産党は、「象徴天皇制」に対しても「建設的」な態度を取るということなのだろうか。

 鳩山政権も10月6日には「奉祝」の政府式典を11月12日に国立劇場で開催することを閣議決定し、当日には皇居前広場を中心に警視庁・消防庁・郷土芸能などのパレード、夕方からは二重橋前の特設ステージで各界著名人の「お祝いのメッセージ」やEXILEが「奉祝歌」を歌う「国民式典」も行なわれる。しかし、そうしたイベントにかけた保守派・天皇主義者の思惑が「政権交代」によってかき消されがちであることも事実だろう。ましてよりによって11月12日にはオバマ米大統領が初来日し、日米首脳会談が行なわれることになっている。メディアの注目もいきおいそちらに集中することは確実だ。

 これは支配装置としての「象徴天皇制」にとって深刻な問題を突きつけている。「女性天皇」問題、皇太子妃雅子の病気と皇太子夫妻への右翼の側からの公然たる批判の噴出を含め、遠からぬ時期に予測される次の「Xデー」をめぐり、再び天皇制そのものの位置づけ論議が混乱した形で登場せざるをえないだろう。右派の側は大きな危機感を抱いている。自民党は、総選挙の過程でこの危機意識を「保守」アイデンティティーの再確立のための「反民主党」キャンペーンとして表現した。それは文字通り天皇制極右と全く同じ質のものであった。そしてこの危機意識の先端に「在日特権に反対する市民の会」(在特会)や「主権回復を目指す会」らレイシスト・排外主義集団の暴力的突出が位置している。

 私たち〈異議あり〉共同行動の出発となった「リードイン スピークアウト」集会のまさに当日(4月11日)、「在特会」は埼玉県蕨市でフィリピン人のカルデロンさん一家の「追放」を求めるデモを行い、このあからさまな排外主義キャンペーンに抗議した人たちを警察は逮捕した。8月には三鷹で「慰安婦展」の開催を妨害するために3日間にわたって会場に押し掛けた。そして8月15日の反「靖国」デモでは、大挙してデモ参加者を襲撃し、私たちの仲間を負傷させた。そして彼らは、全国で在日韓国・朝鮮人、中国人などへの排外主義的憎悪を駆り立てるデモを組織し、その行動はますます暴力的にエスカレートしている。

 私たちは「国民のために祈る」平和主義を前面に出した象徴天皇制が、暴力性と背中合わせの存在であることに目をそむけることはできない。私たちは、この差別と暴力を内包した「奉祝」式典にきっぱりと抗議する。11月12日、〈天皇即位20年奉祝〉に異議あり!政府式典反対全国集会・デモ(午後1時/京橋プラザ多目的ホール)への参加を皆さんにあらためて訴えたい。

(くにとみ・けんじ/新しい反安保行動を作る実行委員会)

Anti20 第6号

2009 年 11 月 7 日

機関紙の第6号ができあがりました。ご購読をお願いします。

【6号/目次】

  • 本間健彦(街から舎)「あるべき姿の生き方を志向することこそミニコミ精神の原点」
  • 青山真樹(役人労働運動)「『大地震がやってくる?!』を読み直す」

[特集]天皇在位20年 え~かげんにせーよ フォーラム
【全体会講演】

  1. 鵜飼哲(一橋大学教員)「『アキヒト天皇二〇年』の思想状況」

【分科会報告】

  1. 国富建治(新しい反安保行動を作る実行委員会)「第1分科会・戦後の『国体』としての日米安保を問う」
  2. 高橋寿臣(反天皇制運動連絡会)「第2分科会・天皇制の戦争責任・戦後責任」
  3. 水島たかし(反天皇制運動連絡会)「第3分科会・天皇のお仕事─『祈り』・『儀礼』・『皇室外交』」
  4. 首藤久美子(女性と天皇制研究会)「第4分科会・ミチコの二〇年~天皇制の危機?」
  5. 藤田五郎(山谷労働者福祉会館活動委員会)「第5分科会・生きることは迷惑か?─排除・排斥・排外を撃つ!」
  6. 中川信明(靖国・天皇制問題情報センター)「第6分科会・日の丸・君が代・元号強制の二〇年」
  • [ただいま行動中!]南田寛太(異議あり!神戸)「神戸・阪神間での運動と右派の動き」
  • [ただいま行動中!]北野誉(8・15行動実行委員会)「東京での『海づくり大会』に抗議」
  • よびかけ団体から(国連・憲法問題研究会)
  • コラム「鳥の目・虫の目」(舌切り雀)
  • 共同行動から(国富建治)



————————————————————————

 主に首都圏で活動している様々なグループ・個人が集まり、「式典」当日に向けて横断的に、多彩な行動を積み重ねていくことをめざしています。
 共同行動のニュースとして『Anti20』を創刊しました。ぜひとも定期購読をお願いします。
 私たちは、このニュースを、たんなる集会の宣伝や、共同行動のアピールの手段にとどめず、読み応えのある、それ自体が相対的に自律した反「奉祝」のメディアとしていきたいと思っています。
 12月まで毎月月末刊行、A4判16ページ、8号分2000円(送料とも)。一部200円でばら売りもしますが、確実に入手するため、ぜひぜひ、定期購読を申し込んで下さい。0号からお送りします。

共同行動から

2009 年 10 月 13 日

「天皇制はいらない」と、言い続けること、思い続けること  

中川信明

 「天皇在位20年奉祝」決議が、各地の県議会で採決されているという。10月1日段階で、秋田、神奈川、新潟、富山、石川、和歌山、岡山、広島、福岡、長崎、宮崎の11県であがったとのこと。この11という数字が多いのか少ないのか、議論の分かれるところだが、私の印象では、決議が粛々と形式的にあがっているだけで熱気は感じられない(もしかしたら、現場は熱いのかもしれないが)。
 そもそも、国会においては、奉祝決議どころか祝日法案も通っていない。敵ながら、10月26日開会の国会で、祝日法案が間に合うのか、もし、間に合ったとしても、役所や公立学校はともかく、民間企業や私立学校は、そう簡単に休めないのではないか、と思ってしまう。しかしながら、形式であろうが、心がこもってなかろうが、「天皇陛下のことだから」と、「奉祝決議」に賛成しまったり、喜んで休んでしまう心性がこわい。これは、「君が代を心をこめて歌う」「日の丸に向かって礼をする」心性と共通しており、それは厄介なことに子どもをはじめとする私たち民衆に強制されてくるのだ。
 それは、「天皇・皇后・皇族」(および、そのシンボルとしての「日の丸・君が代」)は「特別」であるという意識を前提としている。そのことは、20年前の「天皇代替わり」期に突出し、それが「御見舞」「自粛」「服喪」「奉祝」ムードを作り出した。あの空前の盛り上がりに比べて、「即位20年」の現在は、たしかに盛り上がってはいないが、導火線に火さえつけば盛り上がる装置であることは変わらない。
 しかも、あの時は、私たちも、空前の闘いを挑んだ。「御見舞」「自粛」「服喪」「奉祝」ムードに対して、「天皇制はいらない」という声を全国各地であげた。それぞれの声は小さく、少数派であったが、あの「服喪」「奉祝」列島と化した日本社会において、「天皇制はいらない」という声を公然としてあげ、「市民権」を獲得していったのだ。残念ながら、あの時各地で闘った仲間で継続して「天皇制はいらない」と言い続けているものは少ない。しかしながら、「天皇制はいらない」と思い続けている者は少なくないと信じている。
 なぜならば、この20年間、「天皇・皇后・皇族」の「特別」扱いは何ら変わっていないどころが、ますます増幅しているのではないか、と思われる。天皇の孫である児童や幼児や乳児までも「様」がつけられ、マスコミは、気持ちの悪い敬語で書きたてる。東京都は、天皇即位の時、皇太子結婚の時、祝賀式典・祝賀事業を行い、税金を湯水のように使ったが、「天皇在位20年」で再び祝賀式典を行おうとしている(12月25日「天皇陛下御在二十年東京都慶祝の集い」於:東京芸術劇場)。
 私たちは、このような「天皇・皇后・皇族」の「特別扱い」を我慢できない。なぜなら、それは憲法でうたっているはずの「法の下の平等」に反し、差別そのものであるからだ(第14条「法の下の平等」は、憲法の中にあって「天皇条項」を撃つものであると私は考える)。「尊い者」を仕立てあげまつりあげる時、かならず「差別される者」が作り出される。「貴族あれば賎民あり」の意識は脈々と生き続けている。かつ
て、私たちは「皇太子結婚」祝賀事業違憲訴訟において、そのことを真っ向から訴えたが、裁判所は無視をし、「皇太子夫妻の特別扱い」を容認してしまった。しかしながら、私たちは、言い続ける。「天皇・皇后・皇族」の「特別扱い」はおかしい。「奉祝」などはもってのほかだ。それは差別そのものだ!したがって「天皇制はいらない!」と。
 共同行動では、10月12日「え~かげんにせーよ!天皇在位20年」フォーラムを開き、この20年を様々な視点から総括をし、「天皇制はいらない」ことを再認識する作業を行う。
 私たちは、天皇代替わり期においても2回にわたりフォーラムを行い、そのフォーラムを通じて「天皇制はいらない」という共通認識を深め、それぞれの運動へとつなげていった。今回のフォーラムは、その後の11月12日にいたる闘いだけではなく、「天皇制はいらない」と思い続け、言い続けて、ついには「天皇制廃止」をかちとる長い闘いへとつなげていければと願っている。そのためにも是非多くの方々の参加を願うものである。

(なかがわ・のぶあき/靖国・天皇制問題情報センター事務局)

Anti20 第5号

2009 年 10 月 13 日

機関紙の第5号ができあがりました。ご購読をお願いします。

【5号/目次】

  1. たけもりまき(北九州がっこうユニオン・うい)「はみ出すことから見えてくる『絶望』という名の抵抗線──この二〇年は豊かだったのか」
  2. 深田卓(死刑廃止国際条約の批准を求める「死刑廃止運動の二〇年 韓国と日本」
  3. 藤田卓也(釧路在住)「『富山妙子の全仕事展1950-2009』に寄せて」
  4. 桜井大子(反天皇制運動連絡会)「とても豊かな場となったハンテン展──たくさんの人の手で成功!
  5. [特集]「ハンテン展のトークから 〈まつろわない宣言〉」
  6. 池田恵理子(女たちの戦争と平和資料館)・井上森(立川自衛隊監視テント村)K介(パペティスタ)・小山和久(東京にオリンピックはいらないネット)・島袋陽子(琉球センターどぅたっち)・戦闘的ゴジラ主義者(靖国解体企画)・田中宏(自由人権協会代表理事)・田野新一(フリーター全般労組)・渡辺厚子(都立養護学校教員)(わたなべ・あつこ/都立養護学校教員)
  7. [ただいま行動中!]森理恵(日本女性学研究会)「おんなの幸せに手本はいらない」
  8. [ただいま行動中!]渡辺つむぎ(荒川・墨田・山谷&足立実行委員会)「関東大震災時朝鮮人虐殺を忘れない!」
  9. [ただいま行動中!]野村洋子(「奉祝」やめろ!行動)「やめろ!行動集会『部落差別と天皇制』」
  10. よびかけ団体から(「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会)
  11. コラム「鳥の目・虫の目」(金食虫)
  12. 共同行動から(中川信明)

主に首都圏で活動している様々なグループ・個人が集まり、「式典」当日に向けて横断的に、多彩な行動を積み重ねていくことをめざしています。
共同行動のニュースとして『Anti20』を創刊しました。ぜひとも定期購読をお願いします。
私たちは、このニュースを、たんなる集会の宣伝や、共同行動のアピールの手段にとどめず、読み応えのある、それ自体が相対的に自律した反「奉祝」のメディアとしていきたいと思っています。
12月まで毎月月末刊行、A4判16ページ、8号分2000円(送料とも)。一部200円でばら売りもしますが、確実に入手するため、ぜひぜひ、定期購読を申し込んで下さい。0号からお送りします。

10・12「え~かげんにせーよ!天皇在位20年フォーラム」へ

2009 年 10 月 6 日

え~かげんにせーよ!天皇在位20年フォーラム

 民主党政権になつて、事態はどう動くのでしょうか? 首相指名の特別国会のあとは臨時国会が招集されますが、今現在の情報では、その招集は10月半ば以降、となっています。鳩山新首相は「天皇陛下即位20年奉祝国会議員連盟」に参加し、天皇を元首化を主張しています。11月12日に政府主催の奉祝式典を行うことは、すでに昨年、閣議決定されています。その日を祝日とする法案は、いったん廃案となりましたが、臨時国会で一気に再上程・可決されてしまうことが予想されています。私たちの奉祝・強制を許さない闘いは油断なく、推し進めていかなければならないでしょう。
 私たちは次の展開は、10月12日(月=休日)の「在位20年・平成の20年」を問うフォーラムです。「日本国民」がこぞって祝えるような「20年」であったのか? けっしてそうではなかつたという事を、様々な観点・切り口から明らかにしていくものです。6つの分科会のテーマだけでは不十分かもしれませんが、え~かげんにせーよ、というしかないこの20年を皆さんと共に考え、これからの闘いにつなげていきたいと思います。多くの人々の参加を期待します。

・日にち 10月12日(月・休)
・時間 全体会13:00~ 分科会15:30~ 総括会18:00~
・場所 文京区民センター(地下鉄「春日」駅すぐ)
・参加費 1000円(1日通用券)
・主催 <天皇即位20年奉祝>に異議あり!え~かげんにせーよ共同行動
・連絡先 東京都千代田区三崎町3-1-18 市民のひろば e-mail:
igiari20@ten-no.net

全体会 13:00~ 文京区民センター3A
アキヒト天皇20年の思想状況 お話・鵜飼哲さん(一橋大学教員)

分科会(1)15:30~
戦後の「国体」としての日米安保を問う 千本秀樹さん(筑波大教員) 加藤克子さん(立川自衛隊監視テント村)

分科会(2)15:30~ 文京区民センター3B
天皇制の戦争責任・戦後責任 お話・内海愛子さん(日本アジア関係論) 高橋寿臣さん(反天皇制運動連絡会)

分科会(3)15:30~ 文京区民3A-2
天皇のお仕事-「祈り」・「儀礼」・「皇室外交」 お話・伊藤晃(日本近現代史) 天野恵一さん(反天皇制運動連絡会)

分科会(4)15:30~ 文京区民センター2C
ミチコの20年~天皇制の危機? お話・女性と天皇制研究会(桜井大子・首藤久美子)

分科会(5)15:30~ 文京区民センター2B
生きることは迷惑か!?━排除・排斥・排外を撃つ 渋谷のじれん・山谷会館活動委員

分科会(6)15:30~ 文京区民センター3D
日の丸・君が代・元号強制の20年 遠藤良子さん・北村小夜さん・根津公子さん・佐野通夫さん

総括会18:00~ 文京区民3A