2004年1月1日(元旦)、昨年の4月の自民党総裁選で靖国神社への参拝を公約していた小泉首相は「初詣」参拝を実行した。首相になって毎年連続4回目の参拝である。
靖国神社は、かつての侵略戦争で死んだ人びとを祀り、その死者と戦争を賛美することで、さらに人びとを戦場に狩り出していくための装置としてあった。今回の小泉による参拝は、侵略神社としての性格を有する靖国神社と、天皇制国家との密接な関係をあらためて公然化した。これは米軍中心のイラク侵略戦争を支持した小泉政権が、その戦争の必然的延長線上に展開されている軍事占領政策への協力のために、総額50億ドルもの金銭援助のうえに自衛隊の派兵を実施していることと対応した行動である。
昨年12月26日、空自の先遣隊が、「イラク復興支援特別措置法」に基づく派兵の第一波として、すでに「戦場」クウェートとカタールへ(そしてイラクへ)向けて送られている。そして今年、1月、2月に本格的な派兵がなされる準備もととのえられているのだ。
昨年11月29日には、政府(外務省)の方針の下、軍事占領行政に直接的にタッチしていた日本人外交官二人が、レバノン人の運転手とともに殺害されるという事件が起きた。にもかかわらず小泉政権は、イラクへの派兵を「テロにも屈するな」、「彼らの志をつげ」と強弁しつつ準備してきた。
小泉政権は、なんら正当性のない軍事占領行為に荷担するため、戦場での〈死者〉を讃え、〈死者〉を政治利用しながら、派兵体制をつくってきたのだ。 小泉首相は、参拝は「平和をいのる」ためと主張し、正当化している。それは殺し殺される戦場への自衛隊の派兵を平和憲法の理念にそったものだと主張した小泉らしい論理である。彼のいう「平和」とは「戦争」のことなのだ。
首相の靖国神社参拝は、日本によるかつての植民地支配・侵略戦争を、その行為を担った〈死者〉を讃えることを通して正当化するものである。
そして、現在の新たな戦死者を国が祀り、その戦争を正当化するシステムづくりのためのものである。
私たちは、このイラク派兵状況下の首相の靖国神社参拝を断じて許さない。
小泉政権は、イラク派兵を中止し、靖国神社参拝をやめろ!
2004年1月1日
派兵チェック編集委員会/反天皇制運動連絡会(03-3368-3110 落合BOX)