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運動情報 : 【基調】改憲と天皇制を考える◆2.11集会 
投稿者: daikos 投稿日時: 2005-2-27 1:05:14 (3028 ヒット)

【基調】改憲と天皇制を考える◆2.11集会 
反天連も参加する2.11反「紀元節」行動実行委員会は、お知らせしましたとおり渋谷勤労福祉会館で集会をおこないました。講師に笹沼弘志さんと高尾利数さんをお招きし、象徴天皇制の現在的な問題である改憲をめぐって憲法と天皇祭祀や神話の問題性などについてお話を聞き、関連テーマで活動をつづけるグループからアピールをもらって、デモへと出発しました。参加者は170名でした。集会の報告は実行委ニュースをどうぞ。近日発行の予定です。反天連ニュース"DANCE”にも短い報告は掲載予定です。

以下、実行委がこの集会に向けて出した【基調】です。
*原文は縦組みで作られているため、数字など読みづらい部分があるかと思いますがご容赦ください。

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【基調】改憲と天皇制を考える◆2.11集会 
一、イラク情勢〜自衛隊の第五次派兵〜と「慰霊・追悼」
二、反「紀元節」の取組のさらなる強化を
三、天皇元首化・「祭祀権復活」をすすめる改憲攻撃に反対しよう!
四、皇室スキャンダルと本格化する女帝論議
五、おわりに


(内容は「続き」をどうぞ)



一、イラク情勢〜自衛隊の第五次派兵〜と「慰霊・追悼」

 米軍を中心とするイラク占領をめぐる情勢は、去る一月三〇日に実施されたイラク暫定国民議会選挙を経た今、なお混迷と悪化を深めている状況にある。米・ブッシュ大統領は就任演説上にて、イラクでの選挙実施の事実を「イラク国民の勝利」「自由の勝利」として自画自賛している。しかしそもそもこの国民議会選こそ、昨年一一月に開始された米軍によるファルージャへの掃討作戦と、これにともなうイラク全土に及ぶ「非常事態宣言」発令下で繰り広げられた“抵抗勢力の一掃”の上に築かれた舞台に他ならない。そしてその内実は、爆撃と銃撃による抵抗拠点の徹底的な破壊がイラクの人々の中に夥しい数の死傷者と被拘束者を生み出したという事実なのであった。
 現在イラクでは、先の国民議会選をボイコットした政治勢力をはじめ、広範な武装勢力が、米ブッシュ政権の強力なテコ入れに支えられた現行傀儡国家の再建を拒否して抵抗を継続している。
 こうしたイラク情勢の動向に対し、その初発の段階から、無条件且つ全面的に米軍への支持・協力を表明してやまないのが現在の日本政府・小泉政権の基本的なスタンスとなっている。自衛隊の役割については、既に昨年一二月十日、「防衛計画の大綱」の大幅な書き換えという形で閣議決定が強行され、日米安保、対米関係をより高度に緊密化・強化していく方向で再定義する方針があらためて明確化されることとなった。また、現行の派兵国家としてのありようをさらに一層推し進めるべく、最高法規である憲法の丸ごとの改変がいよいよ具体化される段階に至っている。そこで構想される国家・社会の像は文字通りの戦争国家というしかないものである。
 このように、権力の側からの国家・社会の大がかりな再編が本格的に進行させられようとしているさなかにある今、自衛隊のイラク派兵は実に第五次派兵を迎えようとしている。
 陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワでは、これまで治安部門を担当していたオランダ軍が三月に撤退するという事態を受け、当地における同部門の担当として新たに英軍兵士六〇〇名が駐留することとなった。イラクでの反英感情は歴史的・現在的な根拠を有するものであり、今回の事態はそうした感情の高まりを予め予想させる状況でもある。元を糺せば、そもそも派兵の継続そのものが〈殺し・殺される〉関係の中に自衛隊を置くことに他ならないのであるが、今回の件により、従来にも増して自衛隊がイラクにおいて〈殺し・殺される〉状況が現実のものとなることは明らかである。
 ところで、派兵先であるイラクでの戦死者をめぐる取扱いという問題が、米ブッシュ政権の戦争政策を支持し、自衛隊派兵政策を維持し続ける小泉政権にとり極めて重大事であることは言うまでもない。前述の事態を受けいよいよ現実味を帯びてきている中にあって、この戦死者の「慰霊・追悼」という事案への対応をどうするのか、について政府は既に動き始めている。
 この問題に関し、遺族への弔慰金積み上げ、「栄典授与」の拡大などと並び、政府は自衛隊員の死を賛美するための施設として、市ヶ谷の防衛庁内に「慰霊碑地区」(メモリアルゾーン)を設置し、二〇〇三年九月一一日にその披露式典を行なった。その後、昨年一一月にここで行なわれた「自衛隊殉職隊員追悼式」では小泉首相が「御霊は、我が国の平和と独立を守るという任務に志を抱いて自衛隊に奉職され、任務を遂行中に不幸にして殉職されました。……御遺志を受け継ぎ、常に国民とともにあり国民を守るという原点を守り続けて参ります」と述べている。
 新たな「戦死者」を国家としてどのように祈念するかということをめぐって、権力側において靖国神社、あるいは新しい「無宗教」の国立追悼施設の是非をめぐる論議が続いている。我々は、国家による死者の利用を許さない立場から、国家によるあらゆる追悼施設に反対するものであるが、イラクにおいて生み出される自衛隊の死者は、さしあたりこのメモリアルゾーンにおいて追悼されることになるだろう。
 かくして、派兵国家の「死者」をめぐる政治はすでに開始されつつあるのだ。
 イラクでの情勢はアメリカの介入が続く限り好転しない。だからこそ我々は、さらなる広範な反戦運動との合流をめざしていかなくてはならないと考える。また、イラク情勢下の「慰霊・追悼」問題については、国家による死者の「慰霊・追悼」をどのようにすればよいのか、ではなく、(戦)死者を生み出す条件をいかになくしてゆけるのか、と問うべきなのである。そのためにも、政府による自衛隊派兵政策を許さず、反派兵の運動をさらに強力に展開していかなくてはならない。

二、反「紀元節」の取組のさらなる強化を

 現在の「建国記念の日」が、戦後の一九四八年まで続いた「紀元節」を引き継いだものであることは、あらためて言うまでもなかろう。
 天皇制イデオロギーを日本社会に浸透させ、民衆を侵略戦争に駆り立てていく装置としての機能を果たした「紀元節」は戦後、そうした過去の歴史に対する一片の反省もないままに一九六六年、「建国記念の日」として復活した。「明治百年記念式典」を前にした祝日法改悪によって強行されたという一事が、戦前の「紀元節」からの連続性をもっともよく表しているといえよう。
 「建国記念の日」と装いを新たにした「紀元節」だが、当初からこの二月一一日には、右派勢力の主導で「奉祝式典」が開催され、八〇年代以降、式典は国家行事化していくことになる。
 その過程で、あまりに強い右翼色に難色を示した政府・自民党が、当時の首相中曽根が出席するための条件として式典内容から政治色、宗教色の一掃を求め、それをきっかけに内部対立が表面化して、中央での式典は八七年に分裂した。
 以後、毎年、財団法人の衣をかぶった「国民の祝日を祝う会」が主催し、政府の後援を受けて首相以下、閣僚の出席の下で執り行われる「建国記念の日を祝う国民式典」と、戦前回帰を志向する神道主義右翼による「紀元節奉祝式典」が並列して開催されていくというのが、これまでの経緯だ。
 ところが、「紀元節」復活から三九回目の「建国記念の日」を前に昨年末、政府後援の「国民式典」の方が中止に追い込まれる見通しだという観測記事が一部メディアに掲載された。
 昨年一二月一五日付の『朝日新聞』によると、自民党が前日に開いた役員会で、翌二〇〇五年からの国民式典を中止するよう主催団体の「祝う会」に勧める方針を決め、首相小泉もこれを了承したというのだ。
 同日付の『読売新聞』は言う。「首相や衆参両院議長らが出席し、毎年、建国記念の日の2月11日に都内で行われてきた『建国記念の日を祝う国民式典』が、来年は開かれない見通しとなった。内閣府などによると、主催している『国民の祝日を祝う会』が会員の高齢化などにより式典を運営するのが困難になったことが理由だという」。
 読売記事によると、「祝う会」は自民党に対し、式典を政府主催での開催にするよう要請したが、自民党側は「立憲君主制のような国で政府が建国記念の式典を開催している例はない」として断ったという。だが「国民式典」は、神道主義色を若干、薄めただけで、天皇制イデオロギーを民衆に注入するための舞台装置として、自民党政府による全面的なバックアップのもと開催され続けているという事実にまったく変わりはない。自民党の言い分の欺瞞性は度し難いというほかない。「立憲君主制のような国で」という自民党の言い分には、天皇元首化をもくろむ意識が露骨ににじみ出たものというべきだろう。
 これについて、神道主義系の「奉祝式典」開催に協力するある右翼団体は、開催案内の中で「折りしも政府自民党による『建国記念の日を祝う国民式典』(主催・財団法人『国民の祝日を祝う会』)廃止勧告、小泉首相の了承という事態を受け、本式典は益々重大な意義を持つことと相成ってゐます」(「維新政党・新風」のサイトより)と、自らの側の発言力の高まりを意識して、自信満々に謳いあげている。
 結局「国民式典」は従来の形式での開催は中止されることが決まり、これまで「啓発事業」として併設されてきた一部の催し物だけが切り離され「祝賀コンサート」に縮小されることになった。
 「建国記念の日」は、いわゆる「国民の祝日」の中で唯一、「国民の祝日に関する法律」に日付が明示されず、政令によって定めることが決められている。このため、自民党内などではこれまでことあるごとに、「国民式典」の完全国家行事化とともに、二月一一日を「建国記念の日」として政令でなく法律で定めるよう格上げしろと求める声を挙げていた。「建国記念の日」=「紀元節」であることを法律によって明示しろというわけだ。
 今回、政府、自民党の主催による「国民式典」開催が断念され、完全国家行事化への道が閉ざされることになったことから今後、「建国記念の日」=「紀元節」として法定化することを求める声は、これまで以上に強まってくるかもしれない。
 「奉祝式典」の実行委員会は、自らのサイトで「戦後歴代政権が民族の原点に立ち返らず国史の神髄に触れえない現状を直視すれば、2月11日を奉祝するにおいて、いたづらに国家行事としての政府主催を叫ぶのではなく、必ずや民間在野有志の熱誠をもってする奉祝行事のたゆみなき遂行こそを、いま我らの大眼目とすべき務めと自覚したい」と嘯いている。昨年、首相小泉は、自らの靖国参拝や、イラク派兵の本格化を控えた中で、新たな争点を抱えるのを嫌って「国民式典」への出席を見合わせたが、「奉祝式典」側にとっては、こうした政府の「紀元節」軽視は我慢ならないものなのだろう。「奉祝式典」側は、直接的な権力奪取、国家行事化という形での中央突破で
はなく、社会全体の右傾化の方に焦点を定めているのだ。
 昨年来の自民党の改憲案にみられるように、「国柄」「伝統」を強調する復古主義的右傾化の流れは昨今、ますます強まっている。「建国記念の日」=「紀元節」の法定化を求める声が、そうした流れに沿ったものであることは間違いない。事態は、今後の改憲動向と密接に絡んでくることになるだろう。
 「建国記念の日」をめぐる状況は、政府・支配層、右派内部の力関係、改憲勢力内部の主導権争いに今後も左右されていくのだろう。だが、いずれにしろ「建国記念の日」が、天皇制イデオロギーを民衆に浸透させるための舞台装置であることに変わりはない。
 日本が参戦国家としての形を急速に整えつつある中、そしてその日本社会の統合の軸として天皇(制)が、新たな再編の形を模索しながらも公然と登場してきつつある中、私たちは、「建国記念の日」に抗する取り組みを、今まで以上に強めていかなければならないと考える。

三、天皇元首化・「祭祀権復活」をすすめる改憲攻撃に反対しよう!

 天皇一族と天皇制の突出のなかで、天皇元首化を明言した自民党の「憲法改正草案大綱素案」が、昨年一一月一七日、マスコミ上で明らかにされた。自民党憲法調査会起草委員会がまとめたこの改憲案には、天皇条項に関して、日本は「天皇を象徴とする自由で民主的な国」「国旗は日の丸、国歌は君が代」「天皇は日本国の元首」「皇位は男女問わず継承」といった文言が並んでいる。さらに、そこには天皇の「祭祀権」の公務としての復活までが書き込まれている。「日本国の歴史、伝統及び文化」なるものが随所に強調されたこの改憲案にあって、天皇はそうしたものの中心に、はっきり据えられているのだ。
 この改憲案は、自衛隊「制服組」が九条書きかえに関与していたという事実が明らかになったことや、参院軽視という声が党内からも上がるなどして、いったん撤回され、保岡興治憲法調査会長による「私案」と位置づけられることになった。そして、改めて設置された自民党新憲法制定推進本部の起草委員会(委員長・森喜朗)は、一月二四日に初会合を開き、憲法改正草案づくりを開始し、四月末をめどに憲法改正試案(森試案)をまとめ、最終的には一一月の結党五〇年をめどに改憲草案を策定するのだという。天皇制担当の小委員会委員長は宮沢喜一だが、昨年六月一〇日に発表された自民党の「憲法改正プロジェクトチーム」による「論点整理(案)」に示された内容が、今回の素案にも基本的に踏襲されているように、あらためて出されてくる改憲案が、基本的なスタンスにおいてこれと大きく変わることはないだろう。
 天皇の「祭祀権」の公的行為としての復活は、いうまでもなく予想されるイラクでの自衛隊員の死者を、国家としていかに「祀る」べきかという問題と深く結びついている。「死者」をめぐる政治は、すでに開始されつつあるのだ。その中心に、「祈る天皇」を据えていこうというのが、「祭祀権復活」の現在的な意味に他ならない。
 現在行われている天皇の宮中祭祀は、新嘗祭・神嘗祭といった収穫祭に由来するもののほかに、明治維新後に創案された「記紀神話」に基づく祭祀、天皇の祖先=「皇霊」祭祀などからなる、純然たる神道儀礼である。現在「天皇家の私事」として行われているこれらを、「公的行為」として位置づけ公費を支出することは、「祭祀王」としての天皇の姿を前面化させるものである。それは、かつてのような「現人神」としての天皇の、そのままのかたちでの「復活」という姿ではなく、新たな「日本の文化・伝統」の守り主としての装いで現れるであろう。だが、神道儀礼も含めた、「国家儀礼」を主宰する天皇という役割が、公的なものとして折にふれて強調されていくことになるだろう。
 こうした形でなされていく天皇制の強化にたいして、九条護憲のためと称して、現在の象徴天皇制に対する批判を手控える傾向が生み出されている。昨年一月の党綱領改訂で、天皇制を当面容認する姿勢を打ち出した日本共産党は、このかん、天皇制との共存路線を繰り返し明言している。昨年一一月、不破議長が宮中晩餐会の答礼行事に出席し、アキヒト・ミチコと同席したのをはじめ、これまで休日扱いにしていなかった2・11、4・29、12・23を、休日扱いとするよう党職員の勤務規定を改めた。さらに、「もともと(天皇が)男性でなければならない合理的根拠はない。女性天皇を是とする議論、検討が行われるのは自然であり賛成だ」(市田書記局長)と、女性天皇を支持する発言もしてみせた。
 こうした共産党の天皇制容認は、象徴天皇制を掲げる現在の憲法をまるごと容認する立場の「護憲」が、必然的に生み出した論理である。「解釈改憲」のゴールとして「明文改憲」があるのだ。九条はもちろん、「戦後平和主義」「人権尊重」「国民主権」という戦後憲法の「三原則」を骨抜きにし、戦後日本の国家・社会を全面的に作り替えていこうと狙っているのが、現在の政府・自民党の改憲攻撃の質なのだ。
 政府・自民党は、憲法改正の手続きを定める「国民投票法案」を通常国会に提出し、成立を図る方針だ。この法案は、「憲法調査推進議員連盟」(改憲議連)によって、さまざまな制約を課せられている「憲法改正」を容易にするためにつくられたものだ。
具体的には改憲案への条文ごとの投票にするか一括投票にするかは「政令で決める」、有権者の過半数ではなく有効投票の過半数をもって承認されたとみなす、「投票結果に影響を及ぼす」マスコミ報道への規制などの項目が書き込まれている。
 われわれは、この「国民投票法案」に反対し、象徴天皇制それ自体に反対していく立場から、広範な改憲反対の動きを作りだしていかなくてはならない。

四、皇室スキャンダルと本格化する女帝論議

 二〇〇三年の暮れに湯浅宮内庁長官が記者会見で秋篠宮にもう一人ほしいと発言したことをきっかけに、二〇〇四年は過去に例を見ないほど、「スキャンダル」を中心とした皇室報道に明け暮れした。
 キャリアを捨てて皇室に入った雅子が不妊治療の末に高齢出産でやっと愛子を生んだことで、同年代の女性を中心に雅子を応援する声が大きくなっていった。愛子が成長するにつれ、その映像も自分や自分の子供と同一視するという役割に大いに役立っていった。
 そういうなかで、皇太子夫婦の第二子を断念と発表したころから雅子の体調が悪く、公務を休むと発表、その後、湯浅長官の発言、そして徳仁の「人格否定」発言である。そして雅子の病気が「適応障害」と発表され、徳仁・雅子と親である天皇夫婦、そして宮内庁との対立の構図が見えてきた。暮れの秋篠宮誕生日記者会見で、皇太子発言に対して「記者会見という場で発言する前に、せめて陛下と内容について話をして、そのうえでの話であるべきではなかったかと思っております」と発言し、天皇はやはり誕生日に際しての「おことば」で「まだ十分に理解しきれぬところがある」と言っている。
 ほとんど家庭内のゴタゴタなのだが、一連の騒動をマスコミは学者、ジャーナリストなど総動員体制で解説した。そして、そのなかから姿を見せてきた方向性は「愛子を天皇に」という趣旨のものだ。雅子の病気のそもそもの原因はそこにある、愛子が天皇になって何が悪い、ほかの王国でも女王がいるではないか、などなど。右派の一部が男系男子にこだわっている以外は、政界、財界、一般市民もこぞって女性天皇賛成なのだ。テレビの特集番組や女性週刊誌でも現行の皇室典範の解説、過去の女性天皇の歴史なども詳しく報道し、今の時代の皇室のあり方なども論じられている。皇室スキャンダルと改憲論議とを巧妙にからめて世論をリードしているようにもとれる。
 そしてついにそれが具体化しつつある。首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が発足し、一月二五日に第一回会議が開催された。それに先立ち、すでに半年前から政府内で極秘裏に女性天皇を前提とした皇室典範「改正」が検討されていた、と一月四日の『読売新聞』が報道している。極秘裏に検討されていたその内容とは、女性天皇を前提に、(1)「世数限定案」、(2)「長子限定案」、(3)「直宮家皇族案」という三つの案である。これをたたき台にして、「有識者会議」でさらに論議されていくことになるようだ。この「有識者会議」は「皇位の安定的継承に的を絞って議論」するとし、秋まで月に一回程度、非公開で行われる。なぜ私的諮問機関なのかも問題だが、そもそも天皇制の存続が当たり前の前提で始められていることに問題がある。わたしたちは天皇制そのものに反対しているのである。今こそ天皇制をやめる論議ができる絶好のチャンスなのだ。
 紀宮の婚約会見で隠れたように見える秋篠の皇太子批判ともとれる発言はまだ宙に浮いたままであり、さらなる今後の展開がありそうだ。雅子も近々「公務」に復帰するといわれており、その際に愛子も「公務デビューか!?」の報道もある。三月には紀宮の「納采の儀」があり,秋には結婚する。それまでにあるいくつかの儀式にからめて、またさまざまな報道がされると予想される。小泉政権の側から出てくる改憲問題(女性天皇問題)と天皇家一家が見せている内紛が微妙にからみあっている。ことの本質を見極めるには努力がいるが、注意深く見ていく必要がある。

五、おわりに

 「紀元節」を祝うために作られたこの日は、どの記念日や天皇イベントにも比して格段に天皇主義イデオロギーに貫かれている。今年は政府主導の「国民式典」がなくなるというが、しかし、このことで天皇制の根幹ががほんの少しでも弱体化するということなどはありえない。これまで述べてきたとおり、天皇制は強化される方向でしか思考されていないのだ。
 りっぱな象徴天皇制国家を作り上げるための憲法改悪。この大それた目的を達成するためには、たとえそれが天皇主義右派にとっては重要この上ないイデオロギー活動であったとしても、それを控えてみせるくらいの判断を政府がもっていてもおかしくはない。九条改悪および天皇条項の強化を最優先させる政府の多様な選択のひとつにすぎないのだ。改憲を最大の目的とする、この戦争国家づくりを思考する政府・財界・マスコミの言説やパフォーマンスには、目的のためのかけひきや妥協の結果、「譲歩」を思わせるものも増えてくるにちがいない。運動の側の冷静な分析と行動は、これまで以上に求められることになるだろう。
 毎年恒例の天皇賛美のための三大行事も予定通り行われるようである。六月五日の第五六回茨城全国植樹祭、九月一一日〜一四日と一〇月二二日〜二七日の第六〇回岡山夏季・秋季国民体育大会、一一月二〇日の第二五回神奈川全国豊かな海つくり大会だ。天皇制を地域社会に根付かせるためのイベントは今年も執拗に繰り返されるということだ。
 今年はさらに、軍都立川にある国営昭和記念公園内に建設中の「昭和天皇記念館」の問題が大きく立ちはだかっている。この記念館は三月に完成し一〇月には開館を予定しているという。「みどり」と「平和」を押し出す「昭和天皇記念館」。この大嘘のキャンペーンによって曖昧にされる昭和天皇の戦争・戦後責任問題や「昭和」にまつわるさまざまな問題を、これからも問い続けていかなくてはならない。また、戦争・戦後責任問題を「昭和」の時代に閉じ込めることなく、現在の課題として出し直していかねばならないとも考える。この記念館への抗議行動に合流していくことを呼びかけたい。
 国際的な注目を浴びながら昭和天皇ヒロヒトの戦争犯罪を裁いた二〇〇〇年の女性国際戦犯法廷。NHKによるそのドキュメント番組の改ざん問題は、VAWW−NETジャパンの代表らによって裁判の場で苦しい闘いが続けてこられたが、ここに来て事態は大きく展開している。NHK社員による内部告発からはじまったヒロヒトの有罪判決隠しと、それへの批判のタブー化が誰の目にも明らかな状況となってきている。ここでNHKや政治家によるあらたな真実の隠蔽と言説づくりを許すわけにはいかない。この裁判に注目し、言論への政治家の介入と権力におもねるマスコミへの厳しい批判を続けていきたい。
 「日の丸」「君が代」「愛国心」の押し付けをはじめとする、教育現場におけるさらなる右傾化も、反天皇制の課題につながるものとして、今年も大きく私たちの前にある。教育現場の闘いとの合流を目指しつつも、天皇制に反対する立場から問い続けてきた戦争責任、差別・排外主義という視点からの批判と行動を、今年も積み重ねていきたい。現在おこっている「日の丸」・「君が代」強制問題は天皇制と抜き差しならない関係にあることを、具体的に主張していく必要性を私たちはあらためて感じている。
 まだ噂の段階ではあるが、皇太子の韓国訪問なども取りざたされている。また、韓国政府は天皇訪韓をあらためて招請した。「皇室典範に関する有識者会議」はすでに動き出している。そのほか未解決の小泉の靖国参拝問題、国立追悼施設問題等々、課題は天皇制に関するだけでもすでに山積している。
 私たちは、天皇制にも戦争にも反対なのである。政府が押し出してくる戦争をするための、そして天皇制をさらに安定的かつ強固なものに作り変えるための憲法改悪には、どちらにも同様に反対の声をあげていく。
 社会全体の右傾化をくい止め、政府の改憲に抗する大きなうねりを、ともにつくりあげていきましょう!

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